[79] 動画
2007/5/20 (Sun.) 02:11:51

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ケイシ
[HP]
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| 2007/5/20 (Sun.) 03:02:04 |
「病気のために、きれいな顔立ちになる…という話を聞いたことはあるかい?」 彼は、興味がないような口調で話す。 多分、僕との無言の空間を埋めるために。 「彼女が、話すのだよ。女が本当に美しくなれるのは死んだ時なのだと。身体中から硬さがとれて、しなやかに美しくなれるのだと。」 僕は、目を閉じた。 風が吹く。耳が風の音でいっぱいになる。 「…」 もう、彼の声は聞こえなかった。
はじめまして、アニシード様。 PR掲示板から、画題に惹かれて参りました。ケイシと申します。 こちらの掲示板には、美しい絵と繊細な物語が多くあって、読みふけっておりました。 雰囲気がある絵を、文をつくりだせるのは、素晴らしいですね。 …便乗して、私も描かせていただきました。 患者の少年と、少年の姉の婚約者の青年です。 青年は少年が嫌いではないので時間を見つけては見舞いに来ます。しかし気配りが苦手なので、姉の話題をよく持ち出します。 少年も青年が嫌いではないので、どんな残酷な話題でもいつもは黙って聴きます。でも今日は…という絵です。 緑陰なのに爽やかではないですね、すみません。
今回はこの辺で失礼させていただきます。 素敵な画題を、ありがとうございました。
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アニシード(管理人)
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| 2007/5/21 (Mon.) 02:42:49 |
こんなことを話すつもりじゃあなかった。
僕は口を噤み、彼の横顔を盗み見た。 辛そうに閉ざされた瞼。微かに顰められた眉。 嗚呼まただ。全くなんということを。 だが「済まない」とその一言が何故か言えぬのだ。僕はいつもそうなのだ。 言葉を飲み込んだままの白い喉を見つめているうち訳の分からぬ苛立ちが募り、僕は知らずに煙草を銜えていた。 強い風が吹く。 大きく揺れる木々の葉、明滅する木漏れ日。
流れる紫煙の中 少年が咳き込んでいる 突っ伏し震える小さな背中を擦る素振りで僕は そっと体を寄せる そして再び、紫煙を零すのだ 薄く開いた笑みの隙間から
強い風は止まず、 木漏れ日は目を射るように煌く。 僕は懐のマッチに伸ばし掛けた手を戻し、銜えた煙草をケースに仕舞った。 「少し冷えてきたようだ。そろそろ戻ろう」 僕の声に彼は閉ざしていた瞼をそっと開き、視線を落としたまま小さく頷いた。
初めまして、ケイシさん。 PR掲示板よりお運び下さいまして誠にありがとうございます。 こちらの管理人をいたしておりますアニシードと申します。 いつも勿体無いほどに素晴らしい絵画と物語を皆様に御投稿頂き、この絵掲示板の運営を出来る幸せを日々感じております。 この度新しくいたしました副題「緑陰」は実は、爽やかな日差しの中の陰、木漏れ日による幻視など、明るさによりむしろ際立つ”翳り”の部分をイメージして設定をいたしましたものでございます。 ですのでケイシさんの御投稿を拝見しとても感激してしまいました。明るい木漏れ日の中、細かな硝子の欠片のような痛みを孕んだ物語に…。
青年は婚約者となる女性と知り合い、そして彼女の弟である少年を知ったのでしょうか。それとも少年を先に知っていてその上でその姉と婚約を…。 女性は自分の弟の見舞いによく行ってくれる婚約者にいつも礼を言っていることでしょう。そしてその度に青年は答えるのでしょう。『いずれは僕の弟だ、気にしないでくれたまえよ』と。 少年は彼の見舞いを待ち焦がれていることでしょう。しかし青年は無口で、たまに口を開いたかと思えば語られる言葉は胸の奥底に小さな傷を作るようなことばかり。 青年は見舞いから戻るたびに苛立ったように煙草を口にすることでしょう。『ああ、大丈夫だとも。今日も彼は顔色が良かったよ』報告は毎回決まりきった投げ遣りなもの。それでいながら毎週のように弟の見舞いに通う婚約者に、女性は礼を言い続けるしかなく…。
苛立ち、疑念、悲しみ、諦め……誰一人として幸福ではないのに、誰もそこから逃れられない。 互いに対する気遣いの砦を誰かの想いの狂気が突き破るとき、この静かに抑えられた関係は、甘く激しく美しい悲劇的な結末を迎えるのではないかと想像いたしました。また密かにそうなることを期待も…。
眩い木漏れ日の中に煌く痛ましい想いの物語をどうもありがとうございました。 また是非ともこちらにお運び頂き、素晴らしいお話をお聞かせくださいませ。 心からお待ちいたしております。
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